50歳以上のシニア男性のうち、軽失禁を経験した人は、3人に1人に上り、女性の比率と変わらないという調査もある。主な理由は、加齢による前立腺肥大で、男性なら誰にでも起こり得る。
だが、これまで男性向けの尿漏れ対策商品といえば、分厚い介護用の大型パッドやおむつが中心。中高年男性たちは、女性用の軽失禁パッドを転用したり、色の濃いズボンをはいたりなど、涙ぐましい努力を強いられてきた。
今年3~4月、この潜在的なニーズに目を付けた日用品大手の花王やユニ・チャーム、大王製紙、日本製紙クレシアが、ほぼ一斉に男性用の軽失禁パッドを投入、新市場の開拓を始めた。
各商品とも、スーツ姿でもパッド着用がばれない形状により、男性特有の軽失禁に特化。また、トイレの個室にもサニタリー(衛生)ボックスがない男性のため、一日中交換せずに済む吸収力や、消臭や殺菌効果といった工夫も施されている。
背景は団塊世代の高齢化現在、女性用の軽失禁対策の市場規模は300億円弱。他のサニタリー用品市場と比べれば、まだ小さいものの、「毎年、2桁成長を続ける唯一の市場」(花王)だ。
そして、女性用市場の1%程度にとどまる男性用も、潜在的な市場規模は、女性用と同程度と期待されている。
「男性用の軽失禁市場は、前年比で3倍になった。今の勢いであれば、近々、さらに2~3倍は拡大するはず」と鼻息が荒いのは、男性用軽失禁パッドで目下、シェア6割を占めるユニ・チャームだ。
各社が一斉に新商品を投入した背景は、少子高齢化。子ども用おむつや女性用生理用品といった、他のサニタリー用品市場がいずれ大きく縮小に向かうとの懸念がある。一方で、今年は、団塊世代(1947~49年生まれ)の全てが、65歳以上の高齢者に突入する節目の年。シニア世代は若年層と比べて増える一方だ。
花王は9月、「『シニアトイレタリー』という新市場の創造」を掲げ、衣料用洗剤や消臭スプレーでも、高齢者の尿臭対策に特化した新商品を投入する予定だ。
いずれ訪れる少子高齢化に伴う市場縮小の穴を、"漏れなく吸収"できるのか──。各社の競争は激しさを増しそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)
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