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「共通エントリーシート」は採用活動にプラスか

2014年3月19日水曜日

■リクナビの登場は「就活」を一変させた
私は、エントリーシート(ES)を書いたことはない。新卒の就職活動をしたのは1987年だったが、ESが世に出回り始めたのは90年代で、一般化したのは2000年代だ。
けれども、私が就職活動中の学生(「就活生」の略称はまだなかった)だった頃にも、現在のESとさほど変わらない応募書類を求める企業はけっこうあった。市販の履歴書だけではなく、自己PRや志望動機などの記入用紙をずいぶん提出したものだ。
遠い昔話なのに、応募書類の作成の苦労は未だに覚えている。マスコミ就職に限定したら、30社以上受けるハメになり大変だったのだ。辛かったのは自己PRの量産。こんなのはキレイ事と思いながら自分自身の宣伝文を何枚も書くのは苦役だった。修正液の使用は不利になるとの説があり、書き間違いのたびに新しい紙でやり直した。なんて不毛な! と苛立ちながら……。
あれから四半世紀あまりが経つ。その間、2000年前後のパソコンの普及期に就職情報サイトも急成長。新卒採用の求人情報が、紙の雑誌からウェブのポータルサイトに大移動した。求人情報の閲覧、説明会の参加申し込み、求人に対する応募など、就活のかなりの部分がそこで可能となった。
おかげで就活生の手間は相当減った。また、大学宛ての求人票や、大学のランクごとに中身の異なるものが配達される求人誌と違い、サイトの求人は就活生全員が等しく見られることも画期的だった。ITによる就活の合理化と平等化がおきた、かに思えた。
だが、現実はやっぱり不条理で不公平な面もあわせもっていた。就職情報サイトがオープンすると、就活生たちは次々と大企業の有名どころを中心に登録。その数は、グラフからも窺えるように相当多い。13年の「エントリー社数」は就活生1人あたり約93社。もちろん、これは実際に応募する会社数ではない。同年同調査で、就活生1人あたりの「エントリーシート提出社数」は約24社だ。
とはいえ、私が就職活動をしていた頃で20社以上に応募書類を出して当然という空気だったのは、内定倍率が異常に高いので数を打つしかないマスコミ就職ぐらいだ。それがいまや食品メーカーなど、知名度があって就活生に身近なイメージの企業はみんな超高倍率、昔のマスコミ就職状態だ。
以前だったら、「うちの大学からは難しいだろう」と諦めていた層も含めて、就職情報サイトを使って自由かつ気軽に動けるようになり、人気企業の人気がますます上がる形で、就職・採用活動の世界が一挙に膨張したのだ。

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