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初のFOMC会見で“失言” イエレン議長が示す利上げ時期

2014年3月26日水曜日

 にこにこしながら、ポロッとしゃべってしまった米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長のコメントに、マーケットは敏感に反応した。

 3月20日午前3時過ぎ(米東部時間19日13時過ぎ)、イエレン議長は就任後初の連邦公開市場委員会(FOMC)に臨んだ。

 FOMCの決定内容は、いわゆる量的緩和第3弾(QE3)の証券購入額を月額650億ドル(約6兆5000億円)から550億ドルに100億ドル減額するというもの。減額決定は昨年12月のFOMC以降、これで3回連続となった。

 このほか、政策金利の将来の軌道について示す「フォワードガイダンス」も修正。「失業率6.5%」が利上げを検討する目安とされていたが、FRBの予想より速く低下して6.5%に近づいてきたため、この失業率の数値基準は削除した。

 ここまでは大方の予想通りだったのだが、問題は、FOMC後に開催された議長記者会見である。

 記者会見の中でイエレン議長は、QEが終了した後も「相当な期間」、現状の政策金利(ゼロ金利政策)が維持されるとの声明文について、「相当な期間」とはどのくらいかと問われ、「恐らく6カ月前後」と、新たに"数値"に言及したのだ。

 マーケットはこれに即座に反応を見せた。米長期金利は前日比0.1%以上も上昇して2.7%台に、ドル円相場も102円台まで円安が進んだ。

 それもそのはず。「相当な期間」が「6カ月」となると、QEの縮小が現状のペースで順調に進めば、今年11月には終了できる。そうすると利上げ時期は早ければ「2015年5月」ということになる。それまでの市場予想は「2015年後半」「早くとも15年6月くらい」だっただけに、一気に早期利上げ観測が浮上したわけだ。

あくまでデータ次第

 もっとも、これまでの市場予想に比べても、そこまで利上げ予想時期が前倒しされたわけでもないし、イエレン議長も「6カ月という数字を強調したかったわけではない」(加藤出・東短リサーチ社長)ものと見られる。実際、6カ月という数値を示した後にも、利上げ時期の判断は幅広い経済データ次第であることを強調していた。

 会見に出席した関係者によれば、コメントの際の雰囲気は、さながら「オフレコのブリーフィング」という様子だったようだ。結果的に材料視されたが、議長としての初のFOMCを終え、ほっとして口を滑らせてしまった"失言"だったとの印象は拭えない。

幸いにもマーケットは短期的な反応の後は、今のところ利上げ時期について冷静に受け止めているように見える。だが、イエレン議長にとって、ほろ苦いFOMCデビューだったと言えなくもない。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史

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