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あの上司はなぜ「パワハラ」をしてしまうのか? 3つの理由

2014年3月24日月曜日

■パワハラ相談件数だけが増え続ける謎

 職場内の優位性を利用した嫌がらせを意味するパワーハラスメント「パワハラ」は、今や知らない人がいないほど有名な言葉になりました。ところが、言葉の認知は広まっているのに相談件数は年々増え続け、悩んでいる人は減っていないように思えます。

 『個別労働紛争解決制度施行状況』(厚生労働省)によると、平成24年度に都道府県労働局等の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」の相談は10年前の約8倍弱で、51670件に上ります。解雇や労働条件の引き下げ、退職勧奨などの相談が減少、横ばい傾向にあるなか、いじめ・嫌がらせの相談だけが増え続けているのです。

 パワハラなどの嫌がらせは、精神疾患の労災認定基準の要件の一つでもありますし、損害賠償命令が出た場合の賠償金額も多額です。2012年には厚生労働省でのパワハラの定義づけが行われ、職場の予防、解決対策は強化の傾向にあります。それなのに、パワハラの相談がなくならず、増加し続けているのはなぜなのでしょう? そこには、加害者が自分の行為を、「パワハラ」と自覚しにくいことが影響していると思われます。

■信頼関係がないと「パワハラ」と受け止めやすい

 では、どうしてパワハラが起こるのでしょう? パワハラが発生しやすい環境的要因の一つに、上司~部下間の信頼関係の欠如が考えられます。『職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書』でも、パワハラ相談があった職場の半数以上(51.1%)に「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が認められています。

 実際、著者が相談を受けた例でも、次のような上司~部下間のコミュニケーション不全が、部下の不満につながっていると感じます。

・上司とフェイス・トゥ・フェイスで話す機会がほとんどない
・指示はメールだけで、しかも要件のみのそっけない内容
・部下が行っている仕事に、関心を寄せていない
・数値やクレームだけで、仕事ぶりを判断する
・頑張って仕事をしているのに、労いの言葉一つない

 日ごろからコミュニケーションを重視せず、部下の思いや仕事のプロセスに関心を持たない上司に対し、部下は不信感を持ちやすいのです。そのため、上司~部下間の信頼関係によって、上司の言葉や態度の受け取り方は、次のように180度変わってしまいます。

□上司から「お前、馬鹿だなぁ」と言われた
→信頼している上司なら:「かまってくれた」と感じる
→信頼していない上司なら:「侮辱的な言葉で批判された」と感じる

□道端であいさつしたのに、上司から何も反応がなかった
→信頼している上司なら:「考え事をしていたのかな?」と感じる
→信頼していない上司なら:「無視された」「軽視されている」と感じる

 つまり、信頼関係が築かれていないと、部下は上司の何気ない言葉や態度を「批判」や「攻撃」とマイナスに受け取りやすいということです。

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