日本マクドナルドは7月22日、一部店舗で「チキンマックナゲット」の販売を休止したと発表した。ナゲットの2割を仕入れる中国食肉加工会社、上海福喜食品が、使用期限を半月過ぎたり、床に落ちたりした鶏肉などを使っていたことが発覚したためだ。
マクドナルドでは、リスク分散の観点から食材の調達先をグローバルに複数抱えており、ナゲットも65%はタイから調達していたため、すぐさま切り替えて供給を再開した。幸い、今のところは健康被害の報告も出ておらず事なきを得ている。
こうした対応は、危機管理意識の高さをうかがわせ、対応としては合格点といえるが、事件のダメージはボディブローのように効いてくる可能性が高い。マクドナルドにとって、タイミングがあまりに悪かったからだ。
業績悪化に拍車かというのもマクドナルドは、ここ数年、業績の悪化から抜け出せずにいる。
2004年以降、原田泳幸前社長(現会長)の下、8年連続で既存店売上高を伸ばす快進撃を続けてきたが、12年以降は業績が急速に悪化した。
最近でも既存店売上高は6月まで5カ月連続のマイナス、客数も14カ月連続で前年実績を下回っているようなありさまだ。
魅力的な商品を提供できていないことや、景気循環による消費行動の変化など、その要因はさまざまだが、100円マックのような低価格商品を投入して客の裾野を広げたところで、高単価商品を投入するという従来の"必勝パターン"が、もはや通用しなくなったのは確かである。
同時に、「フランチャイズ化を進めたことによる弱体化」を指摘する声もある。
それまでのマクドナルドの強さの秘密は、直営店比率の高さにあった。だが、高コスト体質に陥り利益を圧迫していたこともあって、08年以降、フランチャイズ化を推し進めた。かつて7割あった直営店は、現在3割にまで縮小しているほどだ。
その結果、人件費は抑制され、筋肉質にはなったものの、「教育が徹底されなくなるなど、店舗が荒れてしまった。また、本部の指揮の下、一気呵成に攻め込む強さが失われてしまった」(流通業界関係者)というのだ。
13年に新しくバトンを託されたカナダ出身のサラ・L・カサノバ社長の下、現在、"原点回帰"を旗印に改革を進めているが、いまだ目覚ましい成果は表れていないのが現状だ。
そうした状況下で起きた今回の事件。…
0 件のコメント:
コメントを投稿