各社が投入するのは、痛風の原因とされるプリン体や、肥満の要因となる糖質を含まない"ゼロ商品"。健康志向の高まりとともに市場が拡大している。
この市場の開拓者はサッポロビールの「極ZERO」だった。発泡酒よりも税率の低い第3のビールとして、昨年6月に発売され、10カ月間で2億本(350ミリリットル缶換算)を販売した。
ところが今年1月、サッポロ社内に激震が走る。
製法上の問題で極ZEROが、第3のビールに分類できない可能性を国税庁に指摘されたのだ。現在もサッポロと国税庁は製法の検証作業を続けている。
サッポロは「極ZEROは第3のビールだったと認識している」(野瀬裕之ブランド戦略部長)という。だが、第3のビールとして低い税率で販売し続け、検証の結果認められなければ、追加で莫大な税金を支払うことになる。
サッポロは市場にあった商品を全て回収。第3のビールに分類されなかった場合に、延滞税を支払うリスクに備えて、116億円を納めることに決めた。
検証作業が続く7月15日、サッポロは極ZEROを、発泡酒として再発売した。ヒット商品だけに「プロモーションには最大限注力する」(尾賀真城・サッポロビール社長)と期待を寄せる。
しかし、発泡酒と第3のビールの間には、酒税の差額が350ミリリットル缶で20円ある。その分、販売価格が高くなり、これまでの消費者が離れるリスクもある。
ライバル3社にとっては、拡大するゼロ市場に参入する絶好のチャンスが到来した。
各社が発売するのは、アサヒ「スーパーゼロ」、キリン「淡麗プラチナダブル」、サントリー「おいしいZERO」。これにサッポロの極ZEROを加え、空前のゼロ商戦が始まる。
第3のビールは増税必至ビール各社が熾烈な争いを始める一方で、ほくそ笑んでいるのが、財務省だ。
財務省は、かねて酒税の減収に悩んでいた。「税率の低い第3のビールが流行したことで、税率の高いビールや発泡酒の販売が落ち込み、税収が減っている」(財務省関係者)だけに、第3のビールは天敵だった。
「第3のビールを増税し、消費者にビールや発泡酒を飲ませたい」(同)財務省にとって、注目商品が発泡酒として発売されることは好都合だ。…
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