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仏アルストムの事業買収合戦に敗れた三菱重工業の大誤算が日立、東芝にも飛び火

2014年7月24日木曜日

 仏アルストムのエネルギー部門買収をめぐり、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と独シーメンス―三菱重工業による連合軍が激突した。結果的にGEが勝利したが、同社に対抗すべく、重電業界に国際再編機運が高まっている。

三菱、日立の経営統合話が再燃か

 6月16日、三菱重工の宮永俊一社長は「アルストムとタービン事業で提携することにより、日・仏連合で圧倒的な技術力を保有し、拡大する新興国での需要に応えていく」と買収合戦に名乗りを上げた。1カ月前には「われわれが参戦できる規模の話ではない。フランス政府から求められる雇用維持も重い」(三菱重工幹部)と否定的だったが、宮永社長は旧知の仲であるシーメンスのジョー・ケイザー社長兼CEOの誘いに乗った。

 GEの当初提案はエネルギー部門の完全買収だ。その額1・7兆円。売上高3兆円規模の三菱重工が及び腰になるのも無理はない。それでも参戦したのは、GEの独走を阻止し、フランス政府と太いパイプをつくれると踏んだからだ。

 筆頭株主としてアルストムに強い影響力を残したいフランス政府とも思惑が一致し、結果としてGEは提案内容の大幅譲歩を迫られ、合弁形態といういかにも中途半端な資本・業務提携に落ち着かざるを得なくなった。「GEがわれわれのことを大嫌いになったのは間違いない」(三菱重工幹部)。

 GEとアルストムが提携効果を最大化するには時間がかかる。ただ、世界一の大型ガスタービンを持ち、アフリカなど未開市場に強力な販路を持つアルストムの提携がはまれば驚異になるのは間違いない。GEの時価総額は26兆円。対する三菱重工は2・1兆円、日立製作所は3・6兆円、東芝は1・9兆円だ。「日の丸重電のメガ再編に向けて2~3年の猶予をもらったにすぎない」とある政府関係者は語る。

 再編絵図はいくつかある。三菱重工と日立製作所は主力の火力発電システム事業を統合しており、経営統合交渉が再燃しても不思議ではない。ある経済誌のインタビューで日立の中西宏明CEOは、三菱重工との統合に前向きな発言をしている。三菱重工の宮永社長も再編論者だ。まずは鉄道、風力、産業機器、原発など個別事業でシナジーを模索し、早ければ今年度内にも発表する可能性はある。

 三菱重工と三菱電機という「スリーダイヤ」同士の提携観測も浮上する。三菱電機は今年、国内で使用していた青色の「MITSUBISHI」を変更し、30年ぶりに赤色の「スリーダイヤ」のブランドロゴを復活させた。

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