日本で15年間の編集者生活を送った後、ベトナムに渡って起業した中安さん。日常的にバイクに乗る中安さんが日々体験するホーチミン市のバイク渋滞。現地に行ったことがある人ならいちどは経験、そして「なぜ?」と疑問に思う、ベトナムならではの交通事情とは?
今回から数回に分けて、ホーチミン名物のひとつでもある。当地の交通事情を紹介しよう。毎日、町中をバイクで走り回っていると、怒ったり笑ったりと、とにかくネタには事欠かないのである。
ホーチミン市の第一印象は「バイクが多い」 ホーチミン市を訪れた方は、ほぼ全員が「バイクが多いのに驚きました」という感想を述べられる。
ホーチミン市の人口は、2012年の統計によると775万人となっている。それに対し、バイクの登録数は550万台。人口比でのバイク保有率は日に7割を超える。人口の中には、もちろんお年寄りから生まれたばかりの赤ん坊まで含まれるから、成人の1人に1台はバイクを持っていると言って間違いないだろう。朝夕の通勤ラッシュの時刻になると、バイクによる渋滞が市内各所で発生する。
ベトナム全土では、3700万台を超えるバイクが存在するという。ベトナムの人口が9000万人だから、全国レベルで計算しても5人に2台を超える保有率だ。我が家でも、住人はハンお母さん、妻、私、8歳の娘の4人でバイクは2台。まさにバイクは足代わりなのである。
ちなみに自動車の登録台数は54万7000台。バイクの10分の1だ。普及率は約8%。タクシー、バスなどの業務用の車両を含めての数字だから、一般家庭への普及率はさらに低い。乗用車は急速に増えているとはいえ、マイカー時代はまだ先である。
「これだけバイクが走っていて、事故を見かけないのが驚き」という感想を持たれる方も多い。
信号が少なく、あっても赤信号を無視するバイクが少なくない。逆走は当たり前で、歩道を疾走するバイクもある。バイクに限らず乗用車ですらセンターラインなどほぼ無視。そういういう状態の割には、確かに事故はそれほど見かけない。日本で同じ状態が発生したら、至るところで事故が発生し、交通機能はまったく麻痺してしまうだろう。とはいえ、実際はベトナムでも交通事故は頻発している。
交通事故による死者数を日本と比べてみよう。日本が人口1億2700万人で、死者数は4411人。それに対しベトナムは人口が8800万人で、死者数は約1万人(いずれも2012年の統計)。…
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