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<タクシー>保護鮮明…減車義務付け、特措法成立

2013年11月21日木曜日

 タクシーの過当競争を是正する改正タクシー事業適正化・活性化特別措置法が20日、参院本会議で可決、成立した。タクシーの減車を事実上、義務付ける内容で、売り上げや賃金の低下にあえぐ業界、運転手からは歓迎の声も上がる。しかし、規制緩和で競争を促して経済を活性化させる安倍政権の成長戦略とは逆行する内容ともいえる。創意工夫で事業を拡大してきたベンチャー系業者からは「利用者置き去りの規制強化だ」などと反発の声が出ている。

 ◇過当競争是正狙い、成長戦略に逆行

 改正法によると、競争の激しい都市部を国土交通相が「特定地域」に指定、新規参入や増車を制限する。具体的には事業者などによる協議会が、台数を減らす計画を作り、各社に減車を指示する。協議会に入らない事業者には、計画に従うよう国が命令できる。指定期間は3年で、過当競争が続いていると国交相が判断すれば、延長も可能。減車割り当ては独占禁止法が禁じるカルテルに該当する恐れがあるため、計画に基づく減車は独禁法の適用から除外する。来年1月にも施行される。

 小泉政権下の規制緩和の一環で2002年、タクシーの新規参入などが原則自由化された。その結果、都市部を中心に台数が増加。運転手の労働環境が悪化したことを受け、大都市での新規参入などを許可制とし、自主的な減車を促す現行の特措法が09年に施行された。ただ、強制力がないため、協力しない事業者も多く、業界団体や労働組合から「効果がない」との批判が相次ぎ、今回の法改正につながった。

 一方、02年の規制緩和後、初乗り料金を500円に抑えた「ワンコインタクシー」や、外国人ドライバーを積極活用したタクシーなど独自の料金設定やサービスを提供する業者が登場。こうした新規参入組の若手経営者からは「頑張っても台数を増やすことができなければ、成長への意欲や従業員の士気に影響する」などの声が上がる。新規参入が減れば、運転手の新規採用の道を狭めることにもなる。

 また、競争の制限がサービス向上への企業努力の意欲をそぐ恐れもある。日本消費者連盟の古賀真子共同代表は「新規参入を阻害し、競争がなくなれば料金が高止まりする可能性もある。消費者の方を向いた改革とは言えない」とみる。【三沢耕平

 ◇労働環境「すぐ変わらぬ」

 タクシー運転手側からは、今回の改正について評価する声が上がる一方、「状況はすぐには変わらないのでは」との見方もある。

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