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首都の真ん中に遊園地をつくったカンボジア人 彼が夢見たものは……

2013年11月6日水曜日

朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住。現在は現地のフリーペーパーの編集長を勤める木村文さんのカンボジアレポート。2011年、カンボジア初の遊園地が完成した。そこに込めた、あるカンボジア男性の思いとは……。

 カンボジアの首都プノンペン。王宮や独立記念塔のあるその中心部に2011年、大きな観覧車のある遊園地「ドリームランド」が建設された。

 つくったのは、カンボジア人の実業家クンナット・チアムさん(38)。クンナットさんのビジネスは、21歳のとき、たったひとりで香港に古着を買い付けに行ったことから始まった。衣類のほか、車の部品や重機を扱う貿易業から、クンナットさんはなぜ、娯楽という目には見えないサービスを売る仕事へと目を向けたのか。

 そのヒントはクンナットさんの生まれた年にあるのだが、まずはその半生について知って欲しい。

1996年、戦後復興とともにビジネスチャンスが生まれた

 クンナットさんが仕事を始めたのは1996年、21歳のときだった。米国に住んでいた叔父が、「カンボジアでいい商売があれば戻ってきたい」とクンナットさんの母親に相談した。当時カンボジアでは、内戦後の本格的な戦後復興が始まっていた。まだ治安に不安はあるものの、だんだんとビジネスチャンスも生まれていた。

 両親は飲料販売の店を営んでいたが、当時羽振りが良かったのは古着屋だった。クンナットさんは英語が話せたので、アメリカ育ちでクメール語が話せない叔父の通訳兼助手として、古着屋の仕事を始めた。

 初めはなかなか流通ルートがつかめなかったが、羽振りのいい古着屋はアメリカではなく、香港からの輸入ルートを持っていることを突き止めた。「彼らはダイヤモンドを身につけ、車を乗り回していました」。

 香港の古着輸出業者を見つけ出して連絡をとったが、最初はまったく相手にされず。何度も何度も連絡をするうちやっと言われた。

「そんなに言うなら香港へ来い」

香港からコンテナで古着を輸入。苦しいときにも支払いは怠らず……

 クンナットさんは、売上金1000ドル(約10万円)を握りしめ香港へ向かった。香港へのチケット代は400ドル(約4万円)。失敗すれば何もかも失うが、心のどこかに確信があった。

 ところが、香港に行っても、交渉相手の社長は、たったひとりでやってきたカンボジアの青年をバカにしてなかなかビジネスの話を始めない。滞在3日目、それでもあきらめず、社長に食い下がった。

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