メールや文書作成ソフトなど、ITツールをまったく使わずに仕事をしている人は、いまやかなり少数派だろう。そうした中で、「ITツールへの没頭」が必ずしも仕事の生産性をあげていない、という指摘が相次いでいる。
「AERA」2月3日号では、ソフトウェア企業のドリーム・アーツが実施している「IT断食」を紹介している。この会社では、会議へのパソコン・スマホの持ち込みや、プレゼンソフトのパワーポイントの使用、CCメール(写しメール)の送信を禁止している。
2013年には社内の猛反対を押して、営業部からパソコンを取り上げ、企画書や見積書作成などの業務は、別の支援部門が担当することにした。
同社のウェブサイトによると、現在営業部はパソコンの代わりにタブレットPC(iPad)を持って外回りをしている。パソコンよりも素早く電源を立ち上げることができるので、移動中にメールチェックをすることもできる。
さらに、資料をクラウド上に保存しておけば、訪問先でもパソコンを使う必要がない、というわけだ。パソコン撤去後の半年間で、営業部の訪問件数は40件から250件に増加。売上見込みも3倍以上になる成果が出たという。
ホンダでも「業務の半分はキレイなパワポ作り」
ITツールを使うことで、かえって効率が落ちているのではないか、という指摘は以前から度々ある。やり玉に挙げられることが多いのが、パワーポイントだ。
会議や商談に出席して、おそらく何時間もかけて作られた美しいパワポ資料を見せられた経験のある人も多いだろう。しかし、デスクワークの増大は訪問件数の減少を招く。商談の成立という営業本来の仕事が、おろそかになるおそれが高い。
要件だけならA4判のペーパー1枚で済む内容でも、パワーポイントで仕立て上げると立派に見えてくる。しかしそれは往々にして自己満足だ。いくら長時間かけて作っても、どれだけ目的達成に貢献しているか考え直した方がいい。
口コミサイトのキャリコネにも、本田技研工業の研究開発部門に勤める30代の男性社員から、こんな書き込みが寄せられている。
「典型的なパワーポイント企業。業務の半分はキレイなパワーポイント作成に費やされる。研究開発職とは言えない。論文や研究報告書よりもパワーポイントを求められる。技術を報告するスキル=パワーポイント作成スキルと全社的に勘違いしている。憤りを通り越して情けなくなる」
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