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シャープの切り札を大量購入 “中国のジョブズ”の野望

2014年2月12日水曜日

 昨年12月上旬、シャープの液晶事業の一大拠点である亀山第2工場で、ある大口顧客向けの生産が秘密裏に始まっていた。

 工場内の生産ラインに仕込まれたのは、シャープが世界で初めて量産化に成功したとされる省エネルギー性の高い「IGZO」(イグゾー)と呼ばれる液晶パネルだ。畳3枚分もある大きなガラスが、600個以上に分断され、一つひとつがスマートフォン向けの液晶パネルとして出荷されていく。

 振り返れば、長い道のりだった。2011年6月、赤字のテレビ用液晶から、イグゾーを使った中小型液晶に主軸を切り替えると宣言したのが始まり。赤字下でもテレビCMに広告費をつぎ込み、イグゾーを躍起になって押し出したが、いつになっても収益面で貢献することはなかった。

 しかし昨年秋以降、ようやく薄日が差し込んできた。まずは米アップルのタブレット「iPad mini」の受注により生産量が向上。そこに加えて、冒頭のプロジェクトが始まったのだ。

 「スマートフォンにして月産100万~200万台分で、年間1000万台を優に超える。これまでとは桁が一つ、二つ違う受注規模だ」(業界関係者)

 シャープの最先端の液晶を一挙に買い込んだのは誰なのか。

 名前が挙がっているのが、中国の新興スマートフォンメーカー、北京小米科技(シャオミ)だ。

日本参入の可能性も

 同社は10年に創業したベンチャー企業。創業者の雷軍(レイ・ジュン)氏は"中国のジョブズ"の異名を取り、世界的にも注目を浴びている存在だ。人気商品であるスマートフォン「Mi3」は、アップルのiPhoneと同クラスの最先端部品と機能を備えながらも、店頭価格は半額以下の1999元(約3万4000円)。若者を中心に熱い支持を集めており、すでに中国では本家アップルの市場シェアを追い越す勢いだ。

 その伸び盛りのシャオミがイグゾー液晶を採用したことは、これまで一切公表されていないが、すでに出荷は始まっている。これは再建に四苦八苦するシャープ経営陣の心の支えになっているはずだ。

 一方で、そこには当然新たなリスクも潜んでいる。

 競合のジャパンディスプレイもシャオミの受注を虎視眈々と狙っており、今後は日の丸メーカー同士で争奪戦が繰り広げられる可能性が高い。

 さらに今年に入って、シャオミは開発中の50ドルほどの格安端末を使い、日本市場への進出を検討中というニュースが出回り始めた。「通信キャリアと手を組み、割安な料金プランを提供するなど、さまざまな可能性が考えられる」(業界関係者)。

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