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ニーチェの言葉「自分自身の主人たれ!」

2014年1月5日日曜日

 ドイツの哲学者、フリードリッヒ・ウィルヘルム・ニーチェが誕生したのは1844年。牧師だった父を早くに亡くし、女性ばかりの家族の中で育った。

 学生時代には19世紀前半の哲学者、ショーペンハウアーに心酔し、音楽家のワーグナーとも交流を持った。しかし、後に思想の違いから決別。さらに、才媛、ルー・ザロメに恋をするも実ることはなく、自殺願望を抱くほどの心の痛手を負いながら、代表作『ツァラトゥストラはかく語りき』を書き上げた。その後も慢性の病気を抱えつつ、スイスとイタリアに半年ずつ住みながら、思索と著述を続けた。

 ニーチェが思索と著述を通じて試みたのは、現実社会での人間の自然な感情や欲望を否定するキリスト教の禁欲主義を根底から覆すことだった。

 その後、科学の進歩もあり、世の中に無神論が広まり、「世界は無価値」とするニヒリズム(虚無主義)が蔓延。

 彼がテーマにしたのはその世界を打ち破り、「生」に価値を見いだすこと。その帰結点が「超人思想」である。超人とは人間を超えた最高の人間の在り方。ありのままの自分を認め、従来の道徳などにはとらわれず、自分の内なる声に従って気高く強く生きるべきだと説いた。55歳没。彼の思想は曲解されてナチズムに利用されたが、その本質は生への賛歌である。
■強く、気高く生きるべし
ニーチェの思想はニヒリズムと深く関わるため、「暗い」「難しい」という先入観を持たれやすいが、まったくの誤解である。彼が追求したのは、今を生きる人間のための実践的哲学だ。「今の自分を変えよう」「高みを目指す自分になろう」という前向きな姿勢が、どの著述にも貫かれている。加えて、表現には比喩や形容が多用され、詩的であり芸術作品に近い。
著述にはまとまった形での幸福論はないが、幸福のためのヒントが随所に見受けられる。
たとえば、遺稿をまとめた『力への意志』にこんな一節がある。
「この人生を簡単に、そして安楽に過ごしていきたいというのか。/だったら、常に群れてやまない人々の中に混じるがいい。/そして、いつも群衆と一緒につるんで、ついには自分というものを忘れ去って生きていくがいい」
これは逆説的な書き方で彼の自己超克の思想を示したものだが、日常でも世間体で物事を選択したり、何も考えず周囲に同調したりという場面はよくあるだろう。
他人の意見や評価に委ねる生き方は、自分で考え選択するよりも遥かに楽だ。しかし、それを続けていると、やがて個性や独自性は失われる。

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