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ユニクロ正社員、「N社員」と「R社員」の給与は天と地か

2014年5月19日月曜日

■ユニクロ1万6000人正社員化の先にあるものとは?
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(以下、ファストリ)のパート・アルバイト約1万6000人の正社員登用など、小売・飲食業を中心に非正規の正社員化の動きが広がっている。
その目的は、景気回復による人手不足の解消と、中・長期的な人材の確保にある。
少子化による若年世代の減少という構造的問題に加え、専業主婦家庭の減少で主婦パートの獲得も難しくなる。ファストリの柳井正会長兼社長も「少子高齢化により人材が枯渇していく。時給1000円で人が集まる時代は終わりを告げた」と記者会見で語っている。正社員化は背に腹を変えられない事情がある。
しかし、正社員にするとボーナスも支給しなければいけないし、人件費の大幅アップは避けられない。仮に時給1000円のバイトを法定労働時間(月間160時間)で雇えば年間200万円以下の支払いですむが、正社員は定期昇給とボーナス加算で年齢とともになだらかに給与が上昇し、55歳前後に年収は800万円に達する(全国消費実態調査、勤労者世帯)。そうなれば人件費が経営を圧迫することになりかねない。
そこで正社員化を打ち出した企業の多くが導入したのが、転居を伴う転勤がない勤務地限定の「地域限定正社員」という雇用形態だ。転勤がなくなるので仕事と子育ての両立を実現し、ワークライフバランスの観点から世間の評価も好意的だ。
が、果たして手放しで喜べる仕組みなのだろうか。問題は給与がどうなるかである。
たとえばファストリは、「地域限定正社員」を新たに「R(リージョナル)社員」と位置づけ、国内転勤型の「N(ナショナル)社員」とは別の賃金体系を設ける。R社員は月給制となり、賞与も支給される。年収ベースでは従来に比べて総じて10%以上あがるが、転勤のあるN社員よりは低くなる。
柳井会長兼社長は「いずれは販売員でも300~400万円の年収を提供し、長期間働けるようにする」と記者会見で述べている。年収300~400万円は非正社員よりも高いが、N社員に登用されなければ生涯にわたってこの年収が固定化される恐れもある。
■日本郵政では正社員になっても55歳で最高450万円
そのことを端的に示すのが、日本郵政グループの「地域限定正社員」(新一般職)制度だ。
今年4月までに4700人が新一般職に転換している。また、2015年度からは正社員の雇用区分を「地域基幹職」と「新一般職」に分けて新卒採用を実施する。

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