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<JR北>北電会長を社外取締役に…「やらせ」発覚時の社長

2014年5月28日水曜日

 JR北海道は27日の取締役会で、非常勤(社外)取締役に北海道電力会長の佐藤佳孝氏(64)と道経済部観光振興監の神姿子(じん・しなこ)氏(57)を起用する役員人事を決定した。佐藤氏は2011年に北電泊原発を巡る「やらせ」問題が発覚した当時の社長。レール検査記録改ざんなど不祥事が相次いだJRは、コンプライアンス(法令順守)が問われ再生途上にあるだけに、識者からは「信頼回復にふさわしい人事か」と疑問の声も出ている。

 「やらせ」問題は、泊原発3号機でのプルサーマル計画を巡るシンポジウムで社員に参加を促すメールを送ったり、社員が賛成の立場で意見表明したりした。

 佐藤氏は自身のやらせへの関与を否定したが、管理責任を問われ11年10月、減給処分を受けたほか道議会に参考人として呼ばれ謝罪した。

 12年3月に社長を退き、会長に就任。JR北海道の社外取締役は、退任する近藤龍夫・北電相談役の後任として就く。起用理由について小山俊幸常務は27日の記者会見で「経営者としての幅広い経験がある」と述べた。

 社外取締役は、内部の役員だけでは適切な企業統治ができないため、「外部の目」として経営を監視し不祥事を防ぐことが期待される存在だ。小樽商科大の加藤敬太准教授(経営組織論)は佐藤氏について「違和感を覚える人事だ。JRは鉄道の安全再生を最優先で進めるため、道外の鉄道専門家や経営立て直しに実績のある人を役員に迎え入れるべきだった」と指摘する。

 一方、JRが道から社外取締役を招くのは初めてだ。神氏について小山常務は「北海道新幹線の開業を控え、観光振興という観点から指導、助言を受けるため就任を要請した」と説明した。「在来線の安全運行を最優先する方針に反するのではないか」という報道陣からの指摘には、「安全第一の考えはみんなが共有している。役員一人一人がその意識を持って就くと思う」と反論した。

 鉄道事業者としての資質すら問われ、企業体質の刷新が求められていたJR北海道。4月に就任した島田修社長にとって初めての役員人事だったが、再生への決意表明に欠ける人選だった。加藤准教授は「北電と道から社外取締役を起用するというのは、道民に見られているという意識がなく、内向きだと言わざるを得ない。(安全問題から)新幹線開業に話題をすり替えたいという意図を感じる」と批判した。

 この日の取締役会では、グループ会社「ジェイ・アール北海道バス」社長の山口力氏を新たに本体の常務に起用。

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