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<東電>10月から全国で電力販売 100%子会社で

2014年5月22日木曜日

 東京電力は22日、全国での電力小売り販売を10月から始めると発表した。東電が営業区域の関東以外で電力を供給するのは初めて。2016年の電力小売りの全面自由化を見据え、他の電力会社などが首都圏参入を進めていることに対抗し、東電も営業区域を越えた競争に乗り出す。福島第1原発事故の賠償や廃炉のため、新たな収益源を確保する狙いもある。

 東電の100%子会社「テプコカスタマーサービス」が22日、大手電力以外に電力を供給する新電力(特定規模電気事業者)として経済産業省に届け出た。同社が現在の電力小売り自由化対象となっている契約50キロワット以上の企業や工場など大口顧客に供給する。今年度は10万キロワット(原発1基分の1割程度)、16年度末には30万キロワットの供給力を確保し、売上高340億円を目指す。

 販売先は、東京に本社を置き、全国展開する企業の地方拠点などを想定。当初は関西や中部を中心に契約獲得を目指す。販売する電力は、地方の工場の自家発電で余った電力などを調達する。東電の電気料金は全国の電力会社でも高水準にあり、競争力に乏しい。東電は、顧客企業が東京の本社と地方拠点でまとめて東電の電力を購入する場合、割引を適用するなどして料金を抑えたい考えだ。

 16年の電力小売り全面自由化後は、全国で家庭向け市場にも参入する。東電の全国小売り販売方針は、政府が今年1月に認定した新総合特別事業計画(再建計画)に盛り込まれた。再建計画では、10年後に全国で100万キロワットの供給力を確保し、売上高を1700億円にする目標を掲げている。

 首都圏の電力市場を巡っては、中部電力が昨年、三菱商事系の新電力、ダイヤモンドパワー(東京)を買収して参入。関西電力も4月から子会社を通じて首都圏での小売りに乗り出した。【中井正裕】

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