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“負の連鎖”を断ち切れるか ソニー、苦渋の赤字予想

2014年5月22日木曜日

 世界的なブランドという自負を持つソニーが、ようやく外聞を捨て、「ありのままの姿」を語りだした決算発表だった。

「3回の下方修正を経て赤字になったこと、また今年度も最終赤字を見込んでいることを、ここにおわびします」

 14日午後4時半、ソニーは本社2階にある大ホールで、2013年度の通期決算を発表した。壇上に上がったのは、子会社のソネット社長から抜てきされ、今年4月に新しく最高財務責任者(CFO)に就任した吉田憲一郎氏だった。

 業績は厳しく、売上高は7兆7673億円、営業利益は265億円、そして最終損失が1284億円と大きな赤字に沈んだ。パナソニックとシャープが、共に3年ぶりの黒字転換を果たしたのとは対照的な不振ぶりだ。

 そのソニーといえば、「週刊ダイヤモンド 4月26日号」の特集でも取り上げた通り、延々と下方修正を繰り返す"持病"の持ち主だ。今期も含め過去6年間で1兆円近い赤字を計上してきたが、決算発表では毎回、外部要因が主因であるかのような説明に終始してきた。

 今回は、それが変わった。

「もうリーマンショックも、洪水も、円高もないのに、これ(赤字経営)は真摯に反省しないといけない」(吉田CFO)

 そう"持病"を断じると、14年度も500億円の最終赤字という業績予想を公表した。

「これまでは、自分を良く見せたいばかりに高い目標を掲げて、下方修正を繰り返してきた」(ソニー幹部)

 今後は、業績不振のありのままの姿と向き合おうというソニー。では、どこに問題点があるというのだろうか。

重たい二つのコスト要因

 ソニー側が自己分析の結果、今回の決算会見で挙げたのが、次の二つのコスト要因である。

 一つ目は、家電製品を扱っている世界中の販売会社の固定費だ。

 合計約4.5兆円ある家電事業だが、独立運営されてきたゲーム事業とスマートフォン事業を除けば、「ピークだった07年度と比較して、ソニーの家電やパソコン、電子部品の売上高はほぼ半減している」(吉田CFO)。

 そのため2900億円(13年度)ある世界中の販社コストが、家電製品の売上高が落ち込むスピードに追い付かなかった。この販社コストを先回りする形で早期に2割削る。

 二つ目が、本社の固定費だ。

 1350億円(13年度)になる本社コストは、過去最高益を記録した07年度と比べて、実のところ増加していたのだという。そのため「小さい本社」をコンセプトにして、2年以内に本社コストの3割減を実施する。

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