ページ

後輩が上司になった――それは「退職マネジメント」かもしれない

2014年5月19日月曜日

 最近、編集長の吉岡綾乃さんからランチのお誘いがないなぁと少し寂しく思っていたところ、メールが飛んできました。まさに以心伝心。「長い間コラムの担当をしていると、こういうちょっとした機微のようなものも、言わずとも伝わるのかな」なんて思っていたら、まったく違う内容でした。

 「サカタさん、次のコラムの内容、こんなテーマはどうでしょう? 組織として、誤って重要なポジションにつけてしまった人、あるいは抜擢して出世させたはいいが、マネージャーとして不向きな人……そういう人の扱いをどうするべきなのか。最近、そういう相談を受けることが増えているんです。きっと共感する人も多いと思うので、よろしくお願いします!」

 いや、そのトピックに触れますか……。実は、綾乃さんが示したケースは珍しいことではありません。正しくいうと「珍しいことではありませんでした」と過去形にしてしまったほうがいいかもしれません。

●かつての組織では、この問題をどうしていたのか

 かつて、年功序列という仕組みが強固だった時代は、間違いなくポジションに見合う実力がない人に対しても、「年齢が達したから」という理由で、組織はその役職を与えていました。右肩上がりの経済成長を続けていた時代ですから、組織をスリム化して、効率を優先しなければいけない、すべての人がパフォーマンスを発揮しなければならない、という、イマドキのビジネスの現場では当たり前の感覚は、それほど濃くありませんでした。

 それでも、部下がいない管理職や、仕事がない部署の創設など、組織の中にさまざまな無駄を作るという手が取られていました。不要な人材を抱えながら機能させない、いわば「組織内新陳代謝」が積極的に行われていたのは、事実です。ただ、いまは組織の中で抱えておく余裕がないし、あったとしてもそれは無駄遣いであると認識されるでしょう。

 そこで密かに行われているのが、「退職マネジメント」なのです。

 ……とはいっても、退職マネジメントという言葉は、一般的ではありません。検索エンジンなどで探してみても、その言葉にピッタリと該当する検索結果は表示されないことからも、新しい言葉(といっていいか迷うところですが)でしょう。まあ、このコラムが掲載されれば、検索結果として表示されることになると思いますが。

 退職マネジメントのポイントはたったひとつ。「さりげなく、心を折る」。これだけです。

●自らの意思で、組織から排出されるように仕向ける方法とは?

 以前のように年功序列で自分のポジションが決まっていく、という時代ではありませんから、多くの役職者は自分の能力に自信を持っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 

人気の投稿