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<本より議論>専門家との2時間3本勝負 -DeNA創業者・取締役 南場智子氏

2014年5月2日金曜日

マッキンゼーは世界一のコンサルティングファームであるが、日本支社には数百人の社員しかいない。なのにどうして存在が際立つのか。出身者の方々に思考のトレーニング法を伺った。
■「例え話」をされて本当に納得できるか
マッキンゼーの新人教育の内容は、きわめて常識的なものである。マッキンゼーといえばロジカルシンキングが売りだが、その最も初歩的な概念のひとつに「MECE」がある。
MECEとは「ある集合を重複がないよう、かつ抜け・漏れがないように分類する」というテクニックだ。たとえば、自然数を分類する場合、「奇数と偶数」という分け方はMECEである。奇数と偶数は重複がないし、自然数には奇数と偶数の2種類しかないから抜け・漏れもない。では、「偶数と3の倍数」という分け方はどうかといえば、これはMECEではない。10までの自然数を考えただけでも1、5、7が漏れるし、6は重複する。
「それはMECEになっていない」などと指摘されると、何やらありがたいお告げを授けられたように感じてしまうが、内容は単純である。試しにエクササイズをしてみよう。

Q. 人間の分け方として、以下のふたつはMECEかどうか答えよ。

  A. 男と女

  B. 日本人と中国人
答えは文末に記すが、MECEが象徴するように、私がマッキンゼーで学んだことにそれほどの深みはなかった。いや、正直に言ってしまえば、それは表層的なもので、学問と呼べるほど体系だったものではなかった。
にもかかわらず、マッキンゼーのコンサルタントが世間で重宝されているのはなぜか。それはひとえに、彼らの物言いが格好いいからである。
マッキンゼーのコンサルタントが、ある企業の会議に呼ばれて発言を求められたとしよう。彼は颯爽とホワイトボードの前に立つと、その企業の抱えている課題をすらすらと書き連ねていき、それに、間髪をいれず気の利いたネーミングを施すことだろう。
多くの人がその鮮やかな手並みに幻惑されてしまうわけだが、実態は「重なりと抜け・漏れのない分類法」を「MECE」と呼ぶことと大差ない。
ある企業の抱える課題について最もよく理解しているのは、その企業に20年、30年と勤め、四六時中自分の会社について考えている社員である。それでも多くの企業がコンサルタントを雇うのは、極言すれば、「自分たちがすでに気づいている課題を、気の利いたフレーズに言い換えてもらうため」だ。なかには「結論ありき」で依頼してくる企業もある。

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